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白川日銀総裁がご講演=6月全国懇談会

2012.06.04

 6月の全国懇談会は4日、講師に白川方明日本銀行総裁をお迎えし開催しました。
 白川総裁は「最近の金融経済情勢と金融政策運営」と題して講演し、景気は新興国・資源国が牽引する海外経済の成長率の高まりや震災復興関連需要の強まりにより、今年度前半には緩やかな回復経路に戻っていくと述べた。
 しかし、総裁は欧州債務問題、同問題を背景とする最近の円高傾向、国内の復興関連需要における建設労働者の不足、電力需給問題、財政再建の道筋など日本経済の回復を脅かすさまざまな不確実性が存在することを指摘し、「日本経済がデフレから脱却し、物価安定の下での持続的成長を実現するために、われわれ自身が現実を直視し、必死になって解決策を考え、実行するしかない」と強調した。

 なお、本ご講演の抄録を会報誌「J2TOP」7月号(6月25日発行)に掲載します。

 時事通信の配信記事は次の通りです。

◎円高傾向を注視=「金融緩和は強化途上」―内外情勢調査会で講演・日銀総裁
 日銀の白川方明総裁は4日、内外情勢調査会(会長・中田正博時事通信社社長)で講演し、日本経済の回復を脅かす不確実性として「最近の円高傾向に注意している」と述べ、欧州信用不安をきっかけとした円高の進行に懸念を示した。一方、既定の金融緩和方針に基づく国債などの買い入れを通じ、「毎月、金融緩和を強化している途上だ」と語り、過剰な緩和期待をけん制した。

 総裁は景気の先行きに関連し、「欧州債務問題は最も強く意識しておくべきリスク要因だ」と指摘。円高の背景には同問題の再燃があるとした上で、日本企業の投資マインドへの影響などを「注意深く見ている」と述べた。

 日銀は今年4月、国債などを買い入れる基金の規模を来年6月末までに70兆円に拡大する追加緩和を決定。現在の残高は51兆円のため今後1年強でさらに20兆円近い金融資産の購入を積み上げていく予定だ。総裁は「強力な金融緩和の推進をあらかじめまとめて公表しているため、ともすれば毎月、金融緩和を強化しているという素朴な事実が忘れられがちだ」として日銀は着実に緩和を実行していると強調した。

 ただ過剰な金融緩和は経済の安定を損なうとの認識を表明。「最適なスピードを超えてアグレッシブな(国債)買い入れを行うと、国債市場が中央銀行に過度に依存した市場になる結果、(長期金利が)何らかのきっかけで反転上昇することも起こり得る」と、副作用に言及した。当面の金融政策運営については「現在強化の途上にある金融政策の効果を冷静にじっくり見極める」と述

◎日銀総裁の講演要旨
 白川方明日銀総裁が4日の内外情勢調査会で行った講演と質疑応答の要旨は次の通り。
 【景気・物価情勢】景気は全体として持ち直しに向かう動きが明確になりつつある。2012年度前半には緩やかな回復経路に復していく。物価情勢も徐々に改善しており、消費者物価の前年比は13年度には0%台後半となり、その後遠からず1%に達する可能性が高い。
 【リスク要因】欧州債務問題は最も強く意識しておくべきリスク。世界の投資家は全般にリスク回避の姿勢を強めている。最近の円高傾向にも注意している。円高が日本経済に与える影響については、企業マインドへの影響を含め注意深く見ている。
 【金融政策】現在は毎月金融緩和を強化している途上にある。最適なスピードを超えてアグレッシブな資産買い入れを行うと、何らかのきっかけで長期金利が上昇することも起こり得る。現在強化の途上にある金融政策の効果を冷静にじっくり見極めて、適切な政策運営を行う。
 【日銀法改正】一般論としては十分時間をかけて慎重に議論する必要がある。中央銀行の独立性という世界的に確立された考え方を十分に踏まえて検討してほしい。(了)