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田崎時事通信解説委員長の講演概要を配信―会員向けメルマガ申込受付中

2009.03.12

 9日付メールマガジンで配信した田崎史郎時事通信社解説委員長の全国懇談会(3月4日)でのご講演概要は下記の通りです。
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《3月4日全国懇談会:田崎史郎時事通信社解説委員長「政局展望」概要》 
 
 田崎氏は麻生太郎首相の人気回復は難しいとした上で、後継候補者の中では、自民党内で舛添要一厚生労働相の人気が高いと説明した。また、自民党が総選挙に勝つのは難しいと説明する一方で、仮に民主党政権が生まれても社民党などとの連立は避けられないと指摘。来夏の参院選挙が将来の政治に大きな意味を持つと解説した。

【小沢氏問題】
 昨日(3日)の夕方までは、「麻生太郎首相はいつ辞めるか。後継は誰か」を考えていた。しかし、それ以降は「麻生首相と小沢民主党代表のどちらが先に辞めるか」−を考えなければならなくなった。9月までには衆院の解散総選挙があるが、「その時の自民、民主両党の党首は両氏ではない」という状況が大いに考えられるようになった。
 東京地検特捜部の動きを冷静に見ると、民主党が半年以内に総選挙で勝利して政権に就く可能性が高い中、小沢代表の公設第一秘書に手をつけることは、次の首相を潰すことにつながる。腹をくくって捜査に入ったと思う。岩手県奥州市の同代表の事務所にも捜査が入っている。「検察はオープンになっている以外に何か重要な事実を握っている」と考えるのが、合理的な推理だ。

【変わらぬ自民党の状況】
 これは事件の入り口。小沢代表ところで止まるのか、自民党の方まで捜査が及ぶのか。まだ分からない。(検察批判をする)同代表は「非常に危うい勝負に出た」という感じがする。一方、(今回の事件が)どの程度与党にプラスか、についても、少し割り引いて考えた方が良い。民主党を支持している層は、民主が良いからではなくて、「自民以外に期待の持てる政党は民主ぐらいだから」というのが現実。民主党が良いと思っていないので、ミスをしてもその分は簡単に自民党には戻らないのでは。
 自民党の状況は基本的に変わっていない。小沢代表の件があっても麻生首相の下で総選挙を戦う雰囲気にはないし、今後も考えられない。ただ、首相が辞める時期はあまり即断できない。5月上旬に補正予算と関連法案を国会に提出して6月の会期切れまでに成立しないと、会期延長もあり得べしと見なければならない。政権側は「景気対策が最重要」との論理。「麻生おろし」を狙う人達も反対できない。外交案件も5月のロシア首相の来日から7月のイタリアでのG7のサミットまである。

【次は舛添氏?麻生首相と後継者選び】
 麻生首相の人気回復はおそらくない。サミット後の7月中旬になると、自民党は自身に対する期待を取り戻すために、「総裁選の繰り上げをやろう」という風になるのでは。そしてその前提として、「麻生さん、引き取ってください」となるのではと思う。中川昭一前財務相の辞任の際にも様々な働きかけをしたとされる河野洋平衆院議長の発言が注目される。
 後継は与謝野馨氏や舛添要一氏、小池百合子氏、石原伸晃氏、石破茂氏の名前が挙がっているが、「ドングリの背比べ」。その中では、舛添氏の可能性が最も高いと感じている。議員本人とほかの1人の政治家の2人が映る議員候補者のポスター(いわゆる二連ポスター)の相手として、一番人気は同氏。人気の度合いでは同氏だ。
 舛添氏は参院議員なので、「参院議員の首相が衆院全員の首を切って良いのか」−という問題が生じる。解散の時点で参院議員を辞めて、衆院のどこかの比例区・小選挙区で立候補しなければならないのではと思う。

【重要なのは来夏の参院選】
 では、総裁選を経て自民党は(総選挙に)勝てるのか。必ずしも勝てると言えるところまではいかないだろう。衆院の任期満了は9月10日。7月の中下旬に誕生した新首相が8月に解散して9−10月の選挙だ。自民党の人達は勝てると思っていない。今回の小沢民主党代表の件が起きる前の話ではあるが、衆院の定数480議席のうち、160−180。がんばっても200に届かないという。社民党や国民新党など、自民でも民主でもない議席が50−60。現段階でも民主の第一党は揺るがないと思う。
 ただ、総選挙後に民主党が政権を取っても、それは社民党や国民新党との連立政権にならざるを得ない。参院の過半数は122議席だが、民主党と民主党系無所属を合計して113議席。過半数を取るには、社民・国民新両党の協力を得る必要がある。
 この連立政権がどれほどの政策実行能力を持つだろうか。社民党には、「自衛隊の(海外)派遣」を「派兵」ととらえる文化がある。「民主党がそのような政党と組んで安定するか」−を考えると、来夏の参院選挙が今年の総選挙にも増して大きな意味を持つようになるだろう。総選挙が終わっても来夏の参院選までは安定しない政治状況が続く。その中でどうあるべきかを考えなければならない。(了)