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【新型インフルエンザ】尾身自治医大教授のご講演動画をアップ―6月29日全国特別講演会

2009.07.08

  6月29日開催の全国特別講演会での政府・新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員長の
尾身茂自治医科大学教授のご講演動画(「新型インフルエンザ〜秋以降の脅威から従業員とその
家族、顧客、事業を守るためには〜」)をアップしました。

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閲覧に必要なID、パスワードは会報誌「J2TOP」の6月、7月の両号最終ページに掲載しています。
お手数ですが、チェック願います。
 
 時事通信社が6月29日配信しました本特別講演会の記事・要旨は次の通りです。

◎新型ウイルス、長期戦覚悟を=「第2波」への備え強調−尾身教授が内情で講演
 政府の新型インフルエンザ対策本部が設けた専門家諮問委員会の委員長を務める尾身茂自治医科大教授は29日、都内で開かれた内外情勢調査会全国特別講演会で講演し、「最近(新型インフルについて)マスコミが報道しなくなり、もう心配しなくてもいいような雰囲気になっているが、今後、急速に拡大する可能性もあり、長期戦を覚悟する必要がある」と述べ、今秋から今冬にかけてまん延するとの説もある強毒性の「第2波」に備えるよう訴えた。
 尾身教授は政府や地方自治体、医療機関などが取り組んだ第1波対策について「80%以上やった」と評価しつつも、(1)検疫と同時に国内対策も行うという政府のメッセージが遅かった、もしくは明確でなかった(2)自治体の中には、国からの指示待ちの姿勢を取ったところも一部にあった(3)マスコミはウイルス対策で重要な役割を果たしたが、表面的な事象を追ったきらいがあった―ことを反省点に挙げた。
 同教授はその上で「ウイルスの感染力や病原性が(初期に比べて)高まったとは断定できないが、ウイルスが変化し続けているという説が有力だ」と指摘し、「新型ウイルス流行が下火になった」との風評や憶測が的外れであることを強調した。(了)

◎新型インフル関係・尾身自治医科大教授の講演要旨
 6月29日、尾身茂自治医科大教授が東京都内で開催の内外情勢調査会で行った講演内容の要旨は次の通り。
 
 新興感染症の流行は単なる流行か。近年を見ても、平均して年間一つは新しい感染症が出現している。しかも、その多くは人獣共通感染症である。1918年のスペインかぜに対し、米国の2都市が異なる対応をした。学校閉鎖などの対策を取らなかったフィラデルフィアと、対策を取ったセントルイスとで違いが出た。神戸、大阪で学校の閉鎖エリアが広すぎたのではという批判があったが、エリアは広めの方がよい。夏休み、冬休みの前倒しという形にすれば理解を得られるし、効果もある。
 かぜとインフルエンザを比べて、インフルがなぜ別格なのか。発熱や全身症状、感染力などから見て社会的インパクトが強いからだ。有力科学誌「サイエンス」は新型インフルを「1918(スペインかぜ)の再来ではなく、1918が継続している」と形容した。高齢者が免疫を持 ち、若者が持っていないとされているのは、(生まれが)1947年のイタリアかぜ、1918年のスペインかぜに近いかどうか、と言うことができる。
 今回の新型インフルは、季節性よりやや感染力が強い、多くの人が軽症で治癒している、抗ウイルス剤が効果を発揮していることと、若者が感染しやすい、糖尿病やぜんそくなどの疾患がある人と妊婦が感染したら重症化しやすい特徴がある。まさにこの点が季節性との最大の違いで、違うレベルでの社会的インパクトがある。
 わが国で死者が出ていない理由は、日本人の感染防止意識の高さと、医師がすぐにタミフルを処方するなど医療サービスの質の高さにあると思う。水際作戦は本質的な限界点があり万能薬ではないが、あとで批判が出るだろうことを考えれば、全く水際をやらないというチョイスはなかったと思う。ただ、国内対策と同時にやるというメッセージが遅い、もしくは明確でなかったのは反省点だ。
 学校の閉鎖は当然で、やらなかったら神戸、大阪では流行がもっと広がっていた。行動計画は強毒性を前提としていたという批判があるが、常に高病原性を想定すべきだ。マスコミはインフル対策で重要な役割を果たしているが、マスクが売り切れた、など毎日の表面的なものだけを追った。陰に隠れた本質は何か、を報道すべきだった。
 地方 自治体は一生懸命頑張った。自分で判断して自分でイニシアチブを取った。ただ、発熱外来の設置など、国の指示待ちのメンタリティーも一部にあった。医療関 係者については、病気の全容が分かるまで診療拒否の例があった。対策は80%以上やったが、学ぶこともあった。次回はそこを改善すればよい。
 最近マスコミが報道しなくなった。「もう、心配しなくていいのでは」という雰囲気になった。新型インフルは下火になったという見方がある。しかし、患者が 再び増加しないという保証はない。その理由は(1)症状の軽い人はシステムに登録されない(2)発熱患者がいても、医師が風評を嫌って検査しない場合がある(3)簡易検査の感度は100%でなく、2割程度が漏れてしまう(4)疫学的なリンクを追跡できていない(5)感染者の年齢分布が広がっている(6)感染例を報告する県が増えている―など。
 ウイルスの感染力や病原性が高まったとまでは断定できないが、ウイルスが変化し続けているという説が有力だ。今後患者が急速に拡大する可能性もあり、長期戦になる覚悟が必要だ。(了)