震災復興から活力創出へ=内外情勢調査会で講演―井戸兵庫知事

 兵庫県の井戸敏三知事は4月26日、神戸市内で開かれた内外情勢調査会で「新時代をひらく兵庫の挑戦」をテーマに講演した。平成の時代に見舞われた阪神大震災からの復興をばねに、「既成概念にとらわれず、新たな兵庫をつくっていきたい」と先を見据えた。

 「品格があり、平和な日本をつくろうという願いが込められている」と考える令和の時代。人口が減っても活力が持続する2030年の兵庫の将来像の実現に向け、「どんな年代であっても起業ができるようなシステムや、高齢者全員が活躍できる施策など、少しとがった事業をつくっていきたい」と意気込みを示した。

 ただ、時代の節目を迎えても「いまだに中央集権体制が続いている」と指摘。「東京の物差しによる画一的な発想では、地方の実情に適合できない」と述べ、地方分権の重要性を説いた。

 一方、平成の時代を「阪神大震災や東日本大震災など災害が多発した時代であった」と振り返り、「大きな被害を受けた兵庫は河川改修などに力を入れ、災害耐久力が相当増している。南海トラフ巨大地震の高潮対策や日本海の津波対策などにも計画的に取り組んでいく」と強調した。

 来年1月17日で25年目となる阪神大震災。最大の課題に、若い世代への経験と教訓の風化防止を挙げた。「被災地でも過半数の人が経験していないと見込まれている。忘れない、伝える、生かす、備えるを教訓に25年に向けて取り組んでいきたい」と決意を語った。(了)