「行政変わらないといけない」=内外情勢調査会で講演―上田埼玉知事

 埼玉県の上田清司知事は11月21日、さいたま市内で開かれた内外情勢調査会で「地方から日本を変える」をテーマに講演した。人口減少や高齢化に伴う社会保障費の増大など日本の将来の課題を説明した上で、人工知能(AI)の進展といった現状を踏まえ、今後の地方の在り方として「地域が変革者であるイノベーターを増やし、行政そのものも変わっていかないといけない」と述べた。

 県人口に占める65歳以上の割合が3割以上となり、高齢者の人口増が緩やかとなる見通しの2040年を焦点に、上田知事は「どういう社会をつくっておくべきかが一番のテーマ。40年までにしっかりと社会体制を整えなくてはいけないという問題意識を持っている」と話した。

 一方で、40年までの課題として、富の再分配や持続可能な社会保障制度の構築の二つを指摘。これらの課題への県対応として、糖尿病の重症化予防対策による医療費抑制事業や貧困の連鎖を断ち切る工夫として生活保護や生活困窮世帯の子どもへの学習支援教室の取り組みなどを紹介した。

 40年に向けては、IoT(モノのインターネット)など第4次産業革命の進む現状に触れた上で「一番物事を変えやすいのは小さいところから。(国などより)県や市町村の方が早くできるだろうと思っている」と強調し、「地方での優良事例を横展開してみせることで、国は地方を認め、しっかり一緒に共同歩調を取るという気持ちになるはずだ」と話した。(了)