「データや動向、敏感に受け入れ」=内外情勢調査会で講演―佐竹秋田知事

 秋田県の佐竹敬久知事は10月22日、秋田市内で開かれた内外情勢調査会で「秋田の課題」と題して講演した。人口減少が県政の大きな課題となる中、「さまざまな地域の課題はどこかでつながっている。データや動向を敏感に受け入れ、つながりの連鎖を良い方向に回す責任が県と市町村にはある」と語り、展望を示した。

 少子化対策では「すぐ保育料助成や子育て支援制度をつくるが、それは解決策ではない」と強調。他県や県内市町村の間で出生率に差が生じていることについて、生活環境の違いや子どもへの理解度に関するデータを示し、「なぜそうなるのか、原因を徹底的に追求しないといくら金を掛けても成果は上がらない」と語った。合併前の旧市町村や大字の単位まで細かく調査し、エリアごとに目標を設けるべきだと訴えた。

 観光振興では、東北の他県に比べてインバウンドの伸び率が低い理由は宿泊機能の脆弱(ぜいじゃく)性にあると指摘。特にインバウンド向けとされる宿泊施設(客室が100室以上で1泊1万3000円以上)の客室数が、最多の宮城県(2530室)に対し秋田県(158室)は最少であることなどを挙げ、「泊まるところがなければどうしようもない」と語った。

 外国人向け宿泊施設をめぐっては「他県(の施設)はほとんど地元資本ではない」とした上で、過去に県内で計画された大手資本のホテルが地元の反対で立ち消えた例などを紹介。「今、タイや中国資本のホテルの計画がある」と話し、こうした大手資本の活用を呼びかけた。

 県内の若手蔵元5人で結成したグループ「ネクスト5」や、自治体の支援を受けて起業する移住者らを高く評価。秋田を変える原動力としてこうした30~40代の若い経営者を挙げ、「高齢化があまりに進むと若手への投資がおろそかになる。地域を創る若い人にどう投資するか。お金だけじゃなく活動しやすい雰囲気づくりがミソになる」との認識を示した。(了)