2018年12月26日(水)
復興計画、最後の重要期間=内外情勢調査会で講演―村井宮城知事
宮城県の村井嘉浩知事は9月13日、仙台市内で開かれた内外情勢調査会で講演し、今年度から発展期となった県の震災復興計画について「ラストスパートの3年間に入った。計画後の新たな宮城をつくる重要な期間だ」と強調した。その要として、7月に仙台市内での立地が決まった次世代放射光施設をめぐる構想を挙げた。
次世代放射光施設は、軟X線と呼ばれるエネルギーが低いX線を照射することで、物質の性質や機能を調べることができる施設。幅広い産業応用も期待され、東北経済連合会によると、全国的な経済波及効果は10年間で約1.9兆円。
東京などからのアクセスが良いことから、村井知事は「企業などの研究施設が集まりやすく、リサーチコンプレックス形成の土壌がある」と県の長所を説明。研究施設や工場の集積を促すため、「企業立地奨励金や税制優遇などを検討する」として特区の導入可能性にも言及した。地域への最大の貢献として「首都圏に流れている仙台の優秀な理系学生を呼び込むきっかけになる」と話した。
また、「海外では放射光施設の建設が相次ぎ、競争が激化している」と指摘。産学官金で連携しながら「新たな放射光施設で、東北から競争力のある新商品開発や地場産品のブランド化につなげたい」と強調した。
施設は東北大青葉山新キャンパス(仙台市)内に建設予定で、整備費用は約360億円。約130億円を地元側が負担する。施設は2019年度に着工、23年度に運用開始を目指す。(了)