SDGs「強力に推進」=内外情勢調査会で講演―黒岩神奈川知事

 神奈川県の黒岩祐治知事は9月3日、横浜市で開かれた内外情勢調査会で、「神奈川の先進性―危機をチャンスに変えるソフトパワー―」をテーマに講演した。国連が提唱しているSDGs(持続可能な開発目標)の推進に「強力に力を入れている」と述べた上で、「超高齢社会、持続可能でなくなるぞという危機感、それを乗り越えるモデルを示しながら、神奈川県は前に進んでいる」と、取り組み状況を語った。

 黒岩知事は、SDGsに関心を持ったきっかけについて、「原点は、立候補時から訴えてきた『いのち輝く神奈川』。その考え方がSDGsとぴったり同じだと思った」と振り返った。

 質疑で、SDGs推進に向けた具体的な取り組みを問われると、「分かりにくいSDGsをみんなが分かるテーマに持っていこうとしている」と答え、8月に鎌倉市の海岸に打ち上げられたクジラを引き合いに、SDGsの理念を解説する取り組みを検討中と話した。

 講演では、災害やテロ対策に関しても言及した。神奈川県だけの取り組みとして、警察・消防などに加え、自衛隊や在日米軍までもが一体となって行う総合防災訓練「ビッグレスキュー」に触れ、知事就任後に県で開催するようになり、8月には7回目となったと実績を強調。「自衛隊、米軍、DMAT(災害派遣医療チーム)が一体となって訓練に臨んでいる光景は他では見たことがない」と語った。

 テロ対策では、キャスターとしてワシントンに赴任していた時代のエピソードを披露。「バイオ・ケミカルテロに関する講演で、日本の地下鉄サリン事件が真っ先に語られているのを聞いて、日本でも対策が必要だと感じた」と振り返った。

 現在、神奈川県は2019年にラグビーワールドカップ、20年に東京五輪・パラリンピックを控えており、「テロの標的になるかもしれない。そのためバイオテロを想定した訓練を行っている。昔からやってきたことがここまでつながってきていると実感している」と話した。

 一方、黒岩知事が積極的に広めてきた「未病」施策については今年、友好都市である中国・遼寧省を訪問した際のやりとりを紹介。「中国の漢方に由来する言葉が世界を救うと話した。興味を持ってもらえて、未病の理念を中国に広めたいと遼寧政府から著作の翻訳・出版の申し出を受けた」と明かし、神奈川県発の理念の普及に手応えを示した。(了)