2018年4月4日(水)
持続可能な都市経営を=内外情勢調査会で講演―久元神戸市長
神戸市の久元喜造市長は3月2日、市内で開かれた内外情勢調査会で「持続可能な大都市経営」をテーマに講演した。人口減少を食い止めるため、交通インフラに沿ったまちづくりや子育て環境の充実で、若い世代の移住・定住を促す施策を強調した。さらに、将来世代へのつけを減らす財政運営の重要性を訴えた。
市長は、市が2015年国勢調査人口で福岡市に抜かれるなど近年、人口が首都圏や地方ブロックの主要都市に集中する傾向について「人々の居住志向が『郊外から都心へ』『一戸建てからマンションへ』という流れにあるのが一番の原因だ」と指摘した。高層マンションは、居住者同士のつながりが薄くなりやすく「長い目で見ると地域社会にとって大きな問題だ」と懸念。市の中心部に高層マンションを建設するより、駅前開発で利便性を高め、人口を誘導する「コンパクトなまちづくり」を進めるとした。
子育て支援では、保育定員の拡大を課題に挙げた。市の保育士は、全国平均より年収で約20万円高い一方、勤続年数は約2.4年短いという現状を示し「国の制度に上乗せした処遇改善で人材確保に努める」と話した。
財政面では、赤字地方債など将来世代が負担する借金を抑制する考えを強調した。子ども医療費無料化を例に「子育て世代の移住につながるが、医療費の増加要因にもなる」と説明し「(財源は)税金で埋め合わせされ、今の子どもたちへの将来のつけ回しがどんどん増えている。こうした構造をいつまでも続けていいのか」と疑問を呈した。その上で「財政の持続性を考えながらバランスよく市政運営をするのが大事だ」と語った。(了)