積極的にチャレンジする県へ=内外情勢調査会で講演―阿部長野知事

 長野県の阿部守一知事は1月17日、長野市内で開かれた内外情勢調査会で講演した。知事就任後に県立大学や美術館の整備を決めたことに触れ、「大きなインフラ投資は10年前に取り組むべきだった」と指摘。今後は「他の県がチャレンジしていないようなことに積極的に取り組み、地域間競争に勝ち抜いていきたい」と力を込めた。

 講演は「学びと自治の力で拓く新時代」と題し、2018年度を初年度とする次期総合5カ年計画づくりに込めた思いを語った。安全運転になりがちな行政について、「実現可能性の高い表現に抑えて、批判されないようにしていては未来は開けない」と強調。計画にはチャレンジングなプロジェクトを盛り込んだほか、「地域計画」では各地の独自性を出すため、17年度から始動した地域振興局の自主性に任せてまとめた。

 六つの重点政策では「学びの県づくり」を筆頭に掲げた。教えるという側面が強い日本の教育を念頭に、「昔の教育県に先祖返りするのではなく、これからは子どもも大人も学ぶ側の主体性をしっかり出していきたい」と力説。技術革新の流れにも対応できるよう、「子どもには生きる力と、自分で考えて物事を創出できる能力を育んでほしい。大人になっても学び続けられる環境もつくっていきたい」との認識を示した。

 産業分野では、人材育成の重要性にも言及。質と量の両面でクリエーティブな人材を集めるには、「仕事後に映画を見たい、おいしいものを食べたいといったニーズを満足させられるようなまちづくりを進める必要がある」とした。その上で、民間と連携して「居心地のいいまちづくり」を進めていく意向を示した。

 人口減少社会の到来による人材不足を見据え、女性や高齢者の活躍が必要とも指摘。「女性や高齢者が働きやすい場をつくることは、個人の能力が発揮できるほか、企業にとっても多彩な人材を活用できる」と力を込めた。結びでは、今年が県歌「信濃の国」制定から50年に当たることに触れ、「昔を振り返りながらも、新しい時代に向け、学びの県づくりを進めていきたい」と意気込みを示した。(了)