2017年12月28日(木)
幸福度高める総合計画に=内外情勢調査会で講演―達増岩手知事
岩手県の達増拓也知事は11月27日、盛岡市内で開かれた内外情勢調査会で「『幸福』で描く岩手の将来像」と題して講演し、幸福度をキーワードに次期総合計画(2019~28年度)の策定を進める県の方針について説明した。東日本大震災からの復興に当たって被災者一人ひとりの幸福追求権の保障を原則としたことに触れ、「一人ひとりの幸福度を高める県政を実現する総合計画にしたい」と強調した。
県の有識者研究会は9月、仕事、健康、居住環境など幸福に関する12の領域と幸福感との相関性を体系的に整理した最終報告書を取りまとめた。達増知事は「何のために共同体を民主的に運営しなければいけないかというそもそも論のなかに幸福追求(という考え方)は不可欠」と指摘。「幸福度を測ることができるなら、その数字を増やし、政策に生かすこともできる」との考えを示した。
復興の状況については、大阪府から無償譲渡されたガントリークレーンが9月から釜石港で供用を開始し、復興の後押しにつながることが期待されるなど明るい話題がある一方、いまだ9000人以上が応急仮設住宅での暮らしを余儀なくされている現状を報告。
震災から6年半以上が経過して風化も懸念される。県は3月、20万点を超える震災関連資料を収集し、公開したウェブサイト「岩手震災津波アーカイブ」を開設。達増知事は「各機関の震災時の対応を時系列で見ることができる。防災活動の他、復興教育や復興ツーリズムなどさまざまな場面で役立つよう工夫してある」と力説した。(了)