産業新時代、革新的に=内外情勢調査会で講演―佐竹秋田知事

 秋田県の佐竹敬久知事は、10月10日に秋田市内で開かれた内外情勢調査会で「産業新時代へ、その明暗」をテーマに講演した。「今あるモノがなくなったり衰退したりするということが起きると思うが、日本はともすればそれを守ろうとし、変化に対応する力が非常に弱い。産業は革新(的)でないとこれからはうまくいかない」と語った。

 政治の現状について「世界に比べて日本の政治の幹部は文系が多い。(理系の)専門知識が必要な箇所も素人がほとんどで、産業技術論の面で、世界的な潮流の中での日本の立ち位置が少し弱い」との見解を示した。

 産業構造の変化に関しては急速に拡大するネット通販などを引き合いに、「ただ物を陳列してマージンを稼ぐだけの小売商業は無くなる」と指摘。「その地だからこそ買う雰囲気になるもの、その地の歴史に立脚するもの、そこだけは生き残る」と述べ、「形ある物理的なものから、感性や人間性、知性など感情に根差した職業が尊重される世界になる」との見方を示した。

 人手不足が問題となっている介護分野にも触れ、「多くの人を投じることが果たしていいのか」と言及。施設が介護用リフトやロボットなど、先進機器の導入を想定した設計になっていないとし「機械化できるところはどんどん機械化し、会話や心の通じ合いなど人のつながりが必要なところに人を向けるべきだ」と訴えた。

 また、県が開く企業誘致セミナーの近況も紹介し「パワーアシストスーツの研究開発など、ハードと接点のあるIoT(モノのインターネット)関係のベンチャーが非常に多い」と説明。「IoTはモノとの連携。大きなモノを動かすときは場所が必要で、東京では広い実験場は確保できない。リスクはあるが、こうしたベンチャーを育てれば魅力ある秋田をつくれる」と展望を語った。(了)