2017年5月30日(火)
「観光での地域活性化」テーマに講演=千葉県南部の市長ら―内情南房総支部
千葉県南部の木更津、君津、富津、袖ケ浦4市の市長らが5月15日、木更津市内で開催された内外情勢調査会南房総支部の会合で、「観光での地域活性化」をテーマに講演と対談を行った。相互連携で強みや弱みを補い、地域の魅力を創出し、観光客を呼び込むことが重要だと訴えた。
袖ケ浦市の山口幹雄副市長は、市内の主要観光施設である東京ドイツ村を中心に、観光入れ込み客数の増加基調が続く現状や、東京・神奈川の在住者を対象に定期開催する農作物の収穫体験などで人気のバスツアーなどの市の取り組みを説明。「通りすぎてはもったいない!」をキーワードに、広域連携とシティープロモーションを推進して知名度向上を目指す方針を示した。
君津市の石井清孝副市長は、大きな観光施設がなかった同市で、「濃溝の滝」の景観がSNSでの投稿を契機に急に脚光を浴び、1日5000人以上が訪れるようになり、市職員が総出で交通整理に当たるなどしたエピソードを紹介。市の観光資源について「点としてはいいものがあり、(線や面として)つないでいきたい」と述べ、4市や、すでに取り組む市原市などとの連携に力を入れる考えを強調した。
木更津市の渡辺芳邦市長は、東京湾アクアラインの通行料が値下げされ、アウトレットが開業した2012年以降、市の観光客数が倍増したとして、「プレーヤーがそろってきた。バラエティーに富んだ資源をどう効果的に活用するかが課題」と述べた。ドラマや映画のロケ誘致、スポーツによる振興、里山を生かしたグリーンツーリズム、木更津港で外航クルーズ船を受け入れる実証実験など、さまざまな角度から活性化に取り組むという。
富津市の高橋恭市市長は、ふるさと納税による寄付額が16年度に2億6000万円と前年度比で10倍伸びたことに触れ、「発掘が大事だ。職員が駆けずり回って(返礼品の)品目を増やした」と振り返った。種類豊富な海産物、多彩な表情を持つ海岸線、体験型観光から宿泊まで「富津には本物がある」と述べ、市民やNPO法人などと協働して魅力を底上げし、観光と移住促進につなげる考えを示した。
講演後の対談で高橋市長は、例えば木更津市には大きな観光施設やホテルがあることに触れ、「ライバルだが同志であり、お互い情報を交わしながら弱いところを助け合うのが4市の観光の進め方だ」と発言。これを受け渡辺市長は「隣の市のいいところをちゃんと言える関係をつくりたい。先行する民間の取り組みを見習いながらやっていく」と述べた。山口副市長も「組み合わせの中で、単独よりも多様な魅力の創出が可能」と述べ、共に連携が重要性だとの認識で一致した。(了)