「夢が地方創生引っ張る」=内外情勢調査会で講演―広瀬大分知事

大分県の広瀬勝貞知事は4月21日、大分市内で開かれた内外情勢調査会で講演した。昨年、全国で出生数の前年比がマイナスだった46道府県の中で大分県が最も減少幅が小さかったことを挙げ「子育て満足度日本一を目指して取り組んだ成果」と強調。その上で「これまでの取り組みの方向は間違っていない。夢が地方創生を引っ張り、地方創生が夢を実現するよう、しっかりやっていきたい」と語った。

 知事は人口減少や東京一極集中が進む中、将来的に人手不足や社会保障制度の行き詰まりが生じる可能性を指摘し「何とか人口を維持回復させ、地方から元気を取り戻すことが大事だ」と述べた。そのためには人を大事にし、人を育てる▽仕事をつくり、仕事を呼ぶ▽地域を守り、地域を活性化させる▽基盤を整え、発展を支える―必要があると説明した。

 「子育て満足度日本一」実現に向け、今年度は病児・病後児保育施設や放課後児童クラブの受け入れ拡大を図ることを紹介。また、県の合計特殊出生率は3年連続上昇し2015年は1.59だったことを示し「アンケートを取ると既婚者の希望は子供3人を持つこと。従って、結婚して(子育てして)もいいかなと思ってもらえる環境をつくっていくことが大事」と力を込めた。

 農業振興については、イチゴやトマトなどの園芸作物を品目別に異なる市場に集中出荷することで高いシェア率を有しているケースを示し「マーケット起点のものづくりをしていかなければならない」と主張。観光振興では、18年の国民文化祭や19年のラグビーワールドカップなど大型イベントを活用することに加え「観光客の地域別に戦略を考える必要がある」との見解を示した。

 さらに、県内への移住者数が15年度の454人から16年度は768人に伸びたことを受け、今後はシニア世代の新規就農希望者への支援制度などを強化する方針を明らかにした。知事は「UIJターンは人口減少社会で大変重要。大いに力を入れていきたい」と意気込みを見せた。(了)