2017年4月6日(木)
知識活用できる力の育成を=人づくりテーマ、内外情勢調査会で講演―湯崎広島知事
内外情勢調査会広島支部の例会が3月21日開かれ、広島県の湯崎英彦知事が「広島から世界へ『新しい人づくり』」と題して講演した。
湯崎知事は「社会が不透明化し、答えが得にくくなっている中、何を知っているかではなく、知っていることを活用し、協働して新たな価値を生み出す人材が求められている」と指摘。自ら課題を見つけ、仲間と協働しながら解決に導く「課題発見・解決学習」など、子どもの主体的な学びを促す教育活動に力を入れていく考えを示した。
例会第1部の講演で、湯崎知事は「あらゆる分野の力の源泉は人づくりだ」と、多様で厚みのある人材育成に取り組む必要性を強調。変化の激しい社会では「習ったことを暗記しただけでは、問題の解決はできない」と述べ、知識を総動員して問題解決できる能力の育成を目指す県の「学びの変革」の基本的な考え方を説明した。
2019年4月に大崎上島町に新設する全寮制の県立中高一貫教育校に関しては、「生涯にわたって主体的に学び続ける力を身に付けさせ、世界中どこでも活躍できる人を育てたい」と力説。課題発見・解決学習や異文化との協働といった新しい教育活動を徹底的に実践し、その成果を全県に広げていく方針を示した。
第2部では、湯崎知事と元文部科学事務次官の土屋定之氏、広島大の越智光夫学長が登壇。どうすれば世界で活躍できるグローバルな人材を輩出できるかをめぐり、鼎談(ていだん)した。
土屋氏は、かつて地方の私学の一つにすぎなかった米スタンフォード大が、バイオテクノロジーの分野に力を入れ、優秀な教官と学生を世界中から集めた事例を紹介。「(県内でも)問題意識を持って実現するための努力を続ければ、国際的なリーダーの輩出は可能になるのではないか」との認識を示した。
越智学長は「グローバルな人材とは、突き詰めていくと、あるコミュニティーの中で受け入れられるような人材。そういう人をつくるのが大学の役割だ」と述べた。さらに「幼少期から疑問をずっと考え続けることは非常に重要。広島大でも考え続ける教育を取り入れることに一生懸命取り組んでいる」と語った。(了)