人口減少、いかに立ち向かうか=内外情勢調査会で講演―伊原木岡山知事

 岡山県の伊原木隆太知事は2月16日、岡山市内で開かれた内外情勢調査会で講演した。教育再生や産業振興と共に人口対策に重点を置いた2017年度予算案に触れ「将来のことと今必要なことのバランスを取っていきたい」と力を込めた。第2部では「人口減少に立ち向かう」をテーマに知事と地元有識者によるパネルディスカッションが行われ、首長、企業トップら約100人が出席した。

 伊原木知事は講演で、県の社会保障関係費は毎年約30億円ずつ増加すると説明。「桁違いのスピードで(財政が)圧迫されていく」と危機感を示した。県内の人口問題については「今年だけでは大したことはないが10年後20年後に効いてくる」と将来を見据えた対策が必要との考えを示した。

 パネルディスカッションには岡山大学地域総合研究センター長の三村聡氏、フジワラテクノアート藤原恵子社長、同県和気町の小西哲史総合政策監、チカク代表理事の赤木美子さんの4人が登壇。県の現状を踏まえ、人口減少問題における「自然増」と「社会増」へのアプローチをめぐり議論を交わした。

 長年子育て支援に携わってきた赤木さんは自然増対策として、0歳児の保育支援に力を入れることを提案。「人でも初期投資が大事。女性・子どもの問題としてでなく成長戦略の第一歩」と訴えた。働きながら子育てをする女性社員が多い製造業のトップである藤原社長は「男性への意識改革が重要」と述べ、「仕事をしながら産んで育てることが苦痛でない」会社の雰囲気づくりが大事になると強調した。

 伊原木知事は社会増対策のポイントに「住みやすさ、子育てしやすさ」を挙げた。小西総合政策監は教育に関心を持つ子育て世代を呼び込もうと、英語教育に力を入れ無料公営塾を導入している和気町の取り組みを紹介し、「特徴を生かすことが小規模自治体が生き残る策」と指摘した。三村センター長は岡山大学が実施している企業や地域などでの活動を授業に組み込む「実践型社会連携教育」で、携わった学生の県内就職率が伸びたことを紹介。「地方創生に魔法のつえはない。具体的に実績を積み上げていくしかない」と経験を基に語った。(了)