2016年12月7日(水)
「備えあれば憂いなし」=内外情勢調査会で講演―奥山仙台市長
仙台市の奥山恵美子市長は11月21日、市内で開かれた内外情勢調査会で講演した。東日本大震災の経験を踏まえながら、今年4月の熊本地震で実施したさまざまな支援や、その検証結果を説明。「地震ほど『備えあれば憂いなし』というものはない」と述べ、危機管理の課題を示した。
奥山市長はまず、熊本地震の際に仙台市が行った独自の支援策を紹介。発災直後に全国から届く支援物資を現地にスムーズに配給することについて、「簡単そうに見えて、これほど難しいものはない」と指摘した。熊本地震では、災害対応のノウハウを持つ職員を優先して派遣し、物資の流通システムの整備や、避難所の運営方法のアドバイスを行った。震災後の市の1年間の活動をまとめた「震災記録誌」を100冊提供したことに関しては、「仙台市の一番特徴的な支援だった」と強調した。
また、国が要請を受ける前に応援を多数派遣した「プッシュ型」の支援について、「東日本大震災の教訓を踏まえてシステム的に前進した」と評価。その上で、現地での需要とギャップがあったことに触れ、「もう少し自治体を信頼し、災害応援の役割分担をしてほしい」と述べた。
自治体が民間賃貸住宅を借り上げて、被災者の一時的な住まいとして提供する「みなし仮設住宅」の確保についても、現行の災害救助法では手続きが複雑で時間がかかると指摘。「国に簡略化を(震災から)5年間求め続けてきたが、変わらないまま熊本地震を迎えてしまった。もしこのまま首都圏直下型の地震が起きたら対応は間に合わないのでは」と懸念を示した。(了)