「令和の時代に期待と覚悟を」=内外情勢調査会で講演―広瀬大分知事

 大分県の広瀬勝貞知事は7月29日、大分市内で開かれた内外情勢調査会で「令和とともに おおいた創生」をテーマに講演した。広瀬知事は、これから革新的技術がさらに登場し、社会課題の解決や産業の創出が期待できるとしつつ、平成時代に日本経済が低迷し、人口減少時代に入ったと指摘。「令和の時代は期待と覚悟も必要になる」と語った。

 大分県ではこの1年で人口が約9000人減少し、人口減少に歯止めがかからない状態だ。広瀬知事は「思うように子どもの数が増えない」と現状の厳しさを認め、特に第2子以降の子育て支援が課題との認識を示した。第2子の育児休暇を取得した従業員へ給付金を支給するなどの対策を強化し、「2人目の壁を打ち破る対策を取る」と意気込みを示した。

 県内の商工業については、平成後半の15年で400社以上の企業を誘致し雇用を創出した実績を強調。「これからも大いに誘致していく」と意欲を示した。これからの課題として中小・小規模事業者の約半分で後継者がいない現状を挙げ「地域にとって中小企業は公共財だ」と指摘。商工団体や金融機関と連携し、後継者がいない事業者と創業希望者らをマッチングする支援策などを説明した。

 先端技術活用では、特に中山間地域や離島の買い物弱者への対策としてドローン配送の実験を拡大するほか、デマンドバスの運行をAIで管理する技術や、急速に進む自動運転車の活用も目指す考えを示した。

 9月に迫ったラグビーワールドカップ(W杯)については、県内で欧米や大洋州のチームが試合を行う。W杯をアジア地域以外の観光客を呼び込む好機だとし、「客層を広げるためにしっかりおもてなししていきたい」と強調した。

 また、大分県版地方創生に交通ネットワークの整備が不可欠だと指摘した上で、東九州新幹線の整備計画路線への格上げに関し、「ここで後れを取るわけにはいかない。いよいよ勝負の時が近づいてきた」と語った。(了)