2019年12月25日(水)
三つの時代の変化に対応=内外情勢調査会で講演―小川福岡知事
福岡県の小川洋知事は7月30日、福岡市内で開かれた内外情勢調査会で「福岡県のさらなる発展 時代の変化への対応」をテーマに講演した。人口減少、第4次産業革命、人生100年時代の到来という三つの時代の変化に対応し、「日本海側の一大拠点として九州を引っ張り、この国のバランスの取れた発展に貢献したい」と強調した。
福岡県は、住民基本台帳に基づく1月1日時点の数字では、人口が増えている全国8都県の一つだが、知事は「国立社会保障・人口問題研究所の推計では県の人口もやがて頭を打ち、下がり始める」と危機感を示した。企業トップ自らが仕事と子育ての両立支援を宣言する「子育て応援宣言企業」や待機児童解消などの取り組みを紹介し、「少子化を食い止めたい」と力を込めた。
また「女性の活躍が発展のカギを握る」とも指摘。全国では50代から女性の数が男性の数を上回るが、福岡では20代から女性の数が上回り、企業の女性社長は約7社に1社と多い。県も率先垂範し、県庁管理職に占める女性の割合は2011年度の4.2%から19年度は14.1%と大きく伸びた。女性が活躍できる環境整備と率先垂範の二つが「県の役割」とし、「女性活躍の先進県にしたい」と強調した。
人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)といった最新技術の開発、導入が進む「第4次産業界革命」への対応では、中小企業や農林水産業への導入推進を掲げ、「現場のニーズに合った形」が重要と強調。担い手の高齢化に直面する農林水産業では、IoTセンサーを活用した園芸農家の効率的なハウス管理システム開発の取り組みなどを紹介し、「スマート農林水産業を実現し成長産業へと導きたい」と語った。
病気や寝たきりにならず元気に過ごせる「健康寿命」をいかに延ばすかも課題。県は昨夏、知事を会長に、保健・医療、経済界、大学など110団体で構成する「ふくおか健康づくり県民会議」を立ち上げ、健(検)診受診率の向上、食生活の改善、運動習慣の定着の3項目で数値目標を掲げた。今年度から、個人の取り組みに応じ協力企業が商品、サービスの特典を提供する事業などを開始。県の健康寿命は男女とも全国平均を下回っており、「(寿命と健康寿命の)ギャップをどれだけ小さくするかが、生き生き暮らす前提になる。一人ひとりが自分の健康について、改めて考えてもらわないと(いけない)」と呼び掛けた。(了)