2019年12月25日(水)
考え方は「OODAループ」と親和性=内外情勢調査会で講演―杉本福井知事
福井県の杉本達治知事は8月6日、福井市内で開かれた内外情勢調査会で「県民主役の新しい県政を切り拓く」をテーマに講演した。4月23日に就任した杉本知事は「徹底現場主義」や「県民主役」をベースに新時代県政をスタート。「考え方の基本はOODA(ウーダ)ループと親和性が高い」と話し、新しい県政運営を戦略理論に当てはめて解説した。
OODAループは、「Observe=見る」「Orient=分かる」「Decide=決める」「Act=動く」の頭文字で構成された戦略理論の一つ。
杉本知事は自身が掲げる新時代県政をOODAループに当てはめて、①徹底現場主義による課題の発見②コミュニケーションによる問題意識の共有③政策の方向性決定④施策の実施―と説明。それぞれの段階によって機動的に見直しを図る。「社会はどんどん動いているわけで、それに対応していかなければならない」と述べ、計画に時間をかけるPDCAサイクル(計画、実行、検証、改善)に加え、現場環境に合わせて早く回転できるOODAループの重要性を強調した。
西川一誠前知事が進めたマニフェスト(政策綱領)行政については「数値目標を前提に仕事を進めれば、物事は確実に目標に近づくように努力する」と評価。一方で、事前に用意されたマニフェストに従って県政が進められてしまう点については「コミュニケーションの取りようがない」と指摘。その上で県民との意見交換を通して策定するおおむね20年後を想定した「長期ビジョン」についても紹介した。
また、保守分裂となった4月の知事選については「非常にアウェーな中で選挙活動を始め、毎日すごく大変だった」と振り返った。その上で「どこに行っても先頭に立って引っ張ってくれる先生方や団体関係者がいた。充実感があって本当に幸せだった」と話した。
講演ではこのほか、高速交通のインフラ整備やICT(情報通信技術)を活用したスマート農業などこれから進める主な施策について紹介した。(了)