地方創生「これでいいのか」=内外情勢調査会で講演―佐竹秋田知事

 秋田県の佐竹敬久知事は10月16日、秋田市内で開かれた内外情勢調査会で「地方創生のゆくえ」をテーマに講演した。国の地方創生政策について、「わずかな交付金で都道府県や市町村を競争させ、勝ち組と負け組に分ける。果たしてこれでいいのか」と訴えた。

 佐竹知事は、地方創生に対する国の姿勢に関し「本当に危機感を持っているかというと、どうも内閣府の一事業(にすぎない)。もう1回くらい計画を作って、あとは尻切れトンボだろう」と主張。1980~90年代に国が推進したテクノポリスやリゾート構想との類似性を指摘し、「地方創生とは経済の活性化だが、人口減少の中で全体のパイは決まっている。市町村の総合戦略の目標を足すと、(達成には)われわれは1日に飯を5回くらい食わなきゃいけないことになる」と皮肉を交えて実現性に疑問を呈した。

 人口減少や首都圏への一極集中については、「経済成長による社会の成熟化が原因」だとし、「地方がさぼっていたからではない」と強調。県は若者の県内就職促進に取り組んでいるが、「地方にないような職種、地方に存立し得ない分野が大都市にはある」と述べ、「(地元に残ることを)社会の常識にすれば若い人の希望をなくすことになる」と対応の難しさをうかがわせた。

 また、国に対しては「地方創生の大臣はいるが、内閣府(に置かれている)ということで(役割が)非常に曖昧模糊(もこ)」と指摘。「交付金を配るより、国が主体性を持って全国の基盤をどうするかということをやってほしい」と、抜本的な見直しを訴えた。(了)