災害対策の責任「整理が必要」=内外情勢調査会で講演―山口佐賀知事

 佐賀県の山口祥義知事は10月30日、佐賀市内で開かれた内外情勢調査会で「佐賀新時代を切り拓(ひら)く」と題して講演した。山口知事は、県内を中心に被害が生じた8月の大雨や災害対策基本法の成立の経緯などに触れ、「災害の第一義的な責任は市町村、そして都道府県。それを国が補完する基本原則があるが、最近ごちゃごちゃになっている」と指摘。「どの機関がどう責任を負うのか整理が必要だ」と述べた。

 山口知事は講演で、伊勢湾台風を契機に1961年に制定された災害対策基本法について「現場で市町村が対応するということをベースにできている」と説明。その一方で、災害救助法は都道府県が責任を負うとし、原子力災害特別措置法などにも触れつつ、「そういうのが錯綜(さくそう)している」と整理の必要性を指摘した。

 知事は、8月の大雨の際、東京から駆け付けた各省庁の職員の到着に時間を要したことには「残念ながらそう簡単には来られない」と話し、「われわれ自治体がしっかり責任を負って初動をやっていくことをもっと考えないといけない」と強調。災害対応時の都道府県の役割に関しては「全体的にみながら、調整するのが広域自治体である都道府県だ」とし、「昔と違って今は移動速度が速く、ICT(情報通信技術)化によってネットワークでつながっており、広域的な活動が可能だ。都道府県や県境をまたいだ(支援の)考え方が大事になってくるだろう」と展望を示した。

 このほか山口知事は、県が実施したアニメなどとのコラボレーション企画やアジアのレストランのトップ50を発表する祭典を20年3月に県内で開催することなどを紹介。佐賀県について「世界基準の中でブランド化できる。県庁がつまらない政策や情報発信をしたら誰も寄ってこない。真剣にコラボレーションして佐賀の価値を高めていきたい」と力を込めた。(了)