2020年7月6日(月)
「見違えるようなまちに」=内外情勢調査会で講演―久元神戸市長
神戸市の久元喜造市長は1月27日、市内で開かれた内外情勢調査会で「見違えるような神戸を目指して」と題して、講演した。グローバル社会の中で神戸が国際都市としての立ち位置を維持していくために、「いかに優れた人材を獲得するかという国際的な都市間競争で優位に立てるかどうか」が重要との考えを提示。今後のまちづくりでは、都心部のほかに拠点となる駅前空間をリニューアルし、「まち全体が明るく、にぎわいが出てくる。そのような見違えるようなまちにしたい」と意気込みを語った。
過去を振り返って、「神戸が国際都市としての優位性を持てたのは、海外からの情報を含む交易を港が独占することができたから。現在では情報がありとあらゆるルートで入ってくる。日本中、世界中が国際都市だということだ」と指摘。グローバル社会の中で競争を勝ち抜いていくために、「人材の獲得と養成をめぐって競争している大都市の置かれた状況を痛感している」と述べた。
こうした認識に立ち、市が進めてきたスタートアップ(成長型起業家)の集積や育成を支援する取り組みを紹介。米国の投資ファンド「500スタートアップス」と連携し、4年間取り組んできた起業家育成プログラム「500神戸アクセラレーター」や国際機関の誘致などの事例を説明した。
また、全国で初めて導入した、行政の課題解決にスタートアップの参画を求め、市職員と協働して解決を目指すプロジェクト「アーバンイノベーションコウベ」の実績に触れ、その利点として「行政の仕事のやり方を大きく変え、これまで解決できなかった課題への手法をスタートアップの皆さんから獲得できる」ことなどを挙げた。
阪神大震災から25年を迎え、「神戸をやっぱりいいまちやな、神戸に住みたい、働きたい、勉強したいと思うまちにしたい」と語る。震災からの復興が優先され、着手できなかったまちのリノベーションに取り組む。都心・三宮での高層タワーマンションの建設を禁止し、商業機能に特化する施策などを組み合わせ、郊外も含めたバランスの良いまちづくりを目指す。
都心部の広場など人が集まる空間のリニューアルも進めるが、「市が空間を整備するだけではだめだ。特に夜のまちのにぎわいづくりには、考えられることを全部やっていく必要があるのでは。失敗してもいいから面白いことをやってみるのが大事」と述べ、経済界や市民の参加を広く求める考えを示した。(了)