「高齢県」のコロナ対策に腐心=内外情勢調査会で講演―佐竹秋田知事

 秋田県の佐竹敬久知事は10月27日、秋田市内のホテルで開かれた内外情勢調査会で「新型コロナウイルスから見えてきたこと」をテーマに講演した。コロナ対策では、お年寄りが多い「高齢県」として住民らへの情報提供などに腐心していると説明。人口減少を防ぐため、リモートワークの誘致などを進める考えを示した。

 佐竹知事は「感染がまん延すると、まちに人が出なくなる。高齢者がいるほど経済との両立が難しい」と指摘。無症状者の帰省リスクを考慮し、医療体制が整うまで県外との往来自粛を求めたほか、営業時間短縮や休業の要請に応じた中小事業者に協力金を用意したと振り返った。

 特に知恵を絞ったのは情報伝達という。「ホームページやSNS(インターネット交流サイト)でという発想ではいけない。高齢者は何人見ているか」と語り、県の情報発信で新聞やテレビの広告を多用した事情を明かした。

 全国的に医療資材が不足し始めた状況を受け、地元企業と県が協力し、医療資材を量産するためのグループを組織したことに関しては「産業の落ち込みをカバーし雇用を守れる」とアピール。コロナ禍での産業構造の変化を踏まえ、エネルギー産業や農業のほか、情報通信分野を重視すべきだとの考えを示した。

 また、働き方の見直しを人口減少防止の好機と捉え、既に東証上場企業全社にリモートワークなどによる県への移住可能性を尋ねるアンケートを送付したことを紹介。「東京にリモートワークができる従業員は280万人いる。どう狙うか」と話し、将来の移住者の掘り起こしに意欲を見せた。

 一方、コロナ禍の産業構造の変化で差別や格差が広がることを懸念し、「スーパーコンピューターを扱う人も必要だが、食料はつくれるのか。清掃しているおじさんもにっこり笑って仕事を誇りにできる状況があってもいいのではないか」と言及。「秋田は競争社会の都会にはない別の意味のパラダイスを形作れる。構造転換による光と影でどうバランスを取るかが、良い道を歩む根拠になる」との認識を示した。
(了)