公共交通維持で新税検討=内外情勢調査会で講演―三日月滋賀知事

 滋賀県の三日月大造知事は11月9日、大津市内で開かれた内外情勢調査会で講演し、新型コロナウイルスの感染拡大などで打撃を受けた地域公共交通を維持する財源を確保するため、県独自の税を検討する考えを明らかにした。

 知事は講演で「公共交通を充実させ、移動する権利を保障したい」と強調。「県で公共交通を維持、活性化する財源をつくるため、県民が少しずつ負担する新たな税の仕組みを森林づくりに似た形で検討できないかと考えている」と述べ、12日に開かれる県税制審議会で議論に着手する考えを示した。

 また、農山村地域の活性化を目指して「一緒に汗を流し、ともに地域をつくり、課題を克服する滋賀ならではのツーリズムをつくりたい」と強調。「琵琶湖周辺の公園もPark―PFIの手法を使って、もっと楽しめる空間を作りたい」と話した。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向けては「データを集積、分析して新たなビジネスをつくるため、産官学の連携組織を作りたい」と指摘。「観光や交通のデータから始め、来年度からは健康をテーマに新たな取り組みができないか模索している」と語った。

 このほか、新たな滋賀の未来を探るため「県民との台本作りを計画している」と表明。「有識者や団体代表者ではなく、ランダムに選ばれた県民と予定調和のない議論をすることで、声なき声を聞く対話の一つの形として活用したい」と話した。
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