2020年12月1日(火)
「超感染症社会へ移行を」=内外情勢調査会で講演―長崎山梨知事
山梨県の長崎幸太郎知事は11月18日、甲府市内で開かれた内外情勢調査会で「ふんばろう やまなし!~幸せ実感 超感染症社会の実現に向けて~」と題して講演した。来年4月の設立を目指す「山梨版CDC(米疾病対策センター)」や新型コロナウイルス感染症対策を講じている事業者に県が独自に認証を与える「やまなしグリーン・ゾーン認証制度」などを紹介。「感染防止対策の水準を高め、『超感染症社会』に移行していく」との認識を示した。
長崎氏は、山梨版CDCについて「県内の感染症対策の司令塔になる」と強調。「感染症対策の最前線に出るのは都道府県だ。責任を持つ以上、情報を持たなければいけない」と述べた。また、「1次情報を集める機関として感染症専門医などと人的ネットワークを構築し、アドバイスをもらえるようにする」とし、感染症専門医などの人材育成にも取り組む姿勢を示した。
県では、現在でも休業要請を継続しながら、感染防止対策が行われた施設への要請を個別に解除していることや、休業補償の代わりに感染防止対策に必要な備品購入費用に対し、補助金を給付したことなどを説明。感染症と経済の両立させる「超感染症社会」の構築に向けた取り組みを進める考えを示し、「コロナが収束しても元の世界に戻ることはおそらくあり得ない」と訴えた。
コロナ禍で注目されるテレワークについては、首都圏に近いことから、都市と地方に仕事と生活の拠点を置く2拠点居住や、休暇中に仕事もする「ワーケーション」、移住などの「条件が整っている」とアピール。ただ一方で、「(地方間の)競争が既に始まっている」と危機感も示した。
また、現在の法制度などが「1カ所に定住することを前提に構築されている」と指摘。住民税の支払い先や医療保険制度など法律面での問題が生じる懸念があり、全国知事会での議論を通じ、必要な法整備を政府に要望していく考えも示した。
このほか、公約として掲げる小中学校での25人学級導入について、来年4月から小学1年生で開始されることを皮切りに「公約の完遂を図りたい」と意欲を示した。安定財源の確保に向けて、県が保有する不動産などの資産の活用を見直し、利益を得る方法を検討していくことも明らかにした。
(了)