2020年12月1日(火)
感染防止対策は地方創生=内外情勢調査会で講演―達増岩手知事
岩手県の達増拓也知事は11月27日、盛岡市内で開かれた内外情勢調査会で、「岩手県における新型コロナウイルス感染症対策」と題して講演した。新型コロナをはじめとする感染症に対する大都市の脆弱(ぜいじゃく)性を指摘。東京一極集中の是正に向けた勢いが今後増すとの見方を示し、「感染防止対策イコール地方創生」と強調した。
達増氏は、県が長い期間、新型コロナの感染確認ゼロを維持して国内外の注目を集めたことや、県民の県への愛着度が上がったとの調査結果を紹介。地方移住への関心の高さを示す内閣府調査や、東京都の人口が7~8月と社会減が続いた中、岩手県は連続して社会増だったことなどを引き合いに「(今が)移住・定住とICTの強化をすべき時だ」と強調した。
このほか達増氏は「大都市では経済を止めるような行動制限が必要だが、地方の人口が少ないところは基本的な対策をしていれば感染はあまり広がらず、経済を止めるような行動制限には至らない可能性が高い」と指摘した。
2019年に策定した10年間の総合計画「いわて県民計画」には、コロナ禍で注目されている分散型社会、地方の暮らしやすさ、東京一極集中の是正、先端技術の活用などが「既に盛り込まれている」と説明。「新型コロナ対策の方向性とも、ポストコロナ社会の検討の方向性とも一致していて、基本方向に揺るぎはない」と強調し、今後も計画に沿って県政運営を進める考えを示した。
中でも地方創生では、19年に策定した第2期総合戦略について、新型コロナによる状況変化を踏まえ、「新しい働き方、暮らし方」の視点が必要と説明。「安全に暮らし働ける環境のPR、移住ニーズに即した情報発信の充実、テレワーク環境の情報発信の強化、サテライトオフィス誘致に向けた取り組み」を進めると述べた。
新型コロナについて達増氏は「仕事、暮らし、学びの見直しの機会」とみており、「情報通信技術を活用した多様な働き方、再認識された地方の暮らしやすさを生かした交流やつながりの拡大を進めていきたい」と意気込みを語った。
(了)