人材に選ばれるまちづくりを=内外情勢調査会で講演―塩田鹿児島知事

 鹿児島県の塩田康一知事は12月21日、鹿児島市のホテルで開かれた内外情勢調査会で、「ふるさと鹿児島の今と未来」と題して講演した。塩田氏は、新型コロナウイルス感染拡大でリモートワークなどが進んでいることを念頭に「都会から地方への、集中から分散が求められている」と指摘。「『仕事があるところ』ではなく、住みやすい地域に人が集まる。人材に選んでもらえるまちづくりが今後大事になる」と語った。

 塩田氏は、コロナ禍で「(若者の)地方移住への関心が高くなっており、地方の暮らしの豊かさに改めて注目が集まっている」と主張。鹿児島の魅力を高めるために、デジタル社会の推進を掲げた。県内のテレワークの実施状況が東京などに比べて低いとした上で、「新しい生活様式ということで対応を支援する必要がある」と述べた。

 また、効率化による住民サービス向上を目指すため、「行政手続きを原則オンライン化する考えの下で、法律に基づく署名規制や押印、対面での行政手続きなどの見直しを進め、必要な法改正を行う必要性がある」との考えも示した。県庁のインターネット環境についても、塩田氏が昨年まで所属していた経済産業省と比べ「セキュリティーが重視されており非常に使いづらい」と言及し、クラウドサービスを活用するなどして改善を図るとした。

 この他、デジタル社会への対応としてオープンデータ活用やマイナンバーカードの普及率向上、デジタル人材育成の重要性を強調。ハード面の課題としては、離島や中山間地域が多い県の特性から光ファイバーなどの情報通信基盤の整備を挙げた。また、客観性や正確性を確保するべく、データに基づく政策立案に取り組むと話した。(了)