若者の就職、いかに引き寄せるか=伊原木岡山知事ら討論ー内外情勢調査会

 岡山県の伊原木隆太知事は3月29日夕、岡山市内で開かれた内外情勢調査会で、「若い世代に選ばれる岡山を目指して」と題したパネルディスカッションに参加した。若者に県内企業を選んでもらうための取り組みについて、企業経営者らと議論。知事は「若者を引き寄せるという点ではまだまだ改善の余地がある。有効なオプションを提示し岡山に就職してよかったと思ってもらいたい」と述べ、県内企業の魅力向上に力を入れる考えを示した。

 登壇したのは知事の他、木材加工などを手がける倉敷木材(倉敷市)社長の大久保陽平氏、醸造機械製造のフジワラテクノアート(岡山市)副社長の藤原加奈氏、岡山県立大の柏まり教授。県内大学新卒者の県内就職率が2016~19年度まで毎年40%台と、5割を切る水準で推移しているほか、県出身者で県外の大学を卒業した新卒者のUターン就職率が低迷している現状などについて話し合った。

 自社で働き方改革をリードしてきた大久保氏は、午後5時以降の社内会議を廃止したり、ジェンダー平等の観点から性別に着目した取り組みを見直したりして、女性のみを対象にした企画や会議を取りやめた事例を紹介。その上で「会社の枠から社員を解放し、人生の主導権を会社から個人に戻したい」と話し、多様化する働き方に向き合う必要性を強調した。

 男性社会のイメージが強い製造業で、女性経営者として子育て支援の充実や若手が活躍できる環境づくりに取り組んできた藤原氏は、子育てしながらも女性が安心して働けるように支援制度を充実させるなど、ダイバーシティー支援の重要性を強調。さらに社員のやりがい向上にも力を入れることで「地方・中小コンプレックスを克服し、自己肯定感を高めることが重要だ」と述べた。

 また、子育て支援などが専門の柏教授は「女性就業率と保育所数には相関性がある」と指摘。県の課題として待機児童や保育士不足を挙げ、保育士の待遇改善や潜在保育士の掘り起こしなどに取り組む必要性を訴えた。(了)