2021年5月6日(木)
コロナ後見据え「大きなビジョン必要」=内外情勢調査会で講演―久元神戸市長
神戸市の久元喜造市長は4月23日、市内で開かれた内外情勢調査会で「withコロナ時代の大都市経営」と題して講演した。新型コロナウイルス対策で「感染をどう抑え込み、影響をどう乗り切るか、難しい大事な時期だ」と強調。その上で「コロナは必ず終わる。それを見据えた神戸まちづくりを中長期的な視点に立って行わなければならない」と述べ、大きなビジョンを持って臨む考えを示した。
コロナ第4波で拡大する変異ウイルスへの対応では、市の環境保健研究所が市内患者の約6割の検体を集めて検査し、監視する取り組みを紹介。「全国の自治体に先駆けて感染状況を把握し、市民にしっかりとお知らせし、行動変容につなげていただきたいという思いで公表した」と振り返った。
医療提供体制では、特に重症患者受け入れを強化するため、昨秋から市立中央市民病院のコロナ専用臨時病棟の運用を開始し、全国初の遠隔監視システムを導入した。「徹底的に現場の意見を聞いてスタートさせた。運用するための人材も何とか自前で確保できた」。また市が支援し、市内企業が開発しているPCR検査自動ロボットも「既に完成し、国の承認手続きを経てまず神戸で実用化したい」と語った。
今後のまちづくりの方向性について「コロナは人口が密集する大都会から広がる病気。これまで東京一極集中が進んできたが、そうした高密度の価値観とは違う暮らし方やスタイルが価値を生むのではないか」と指摘。神戸の豊かな自然環境を生かした働き方を、六甲山上で創造型産業の集積を図る「スマートシティ構想」などを通して提案したいとした。
重点課題に挙げる人口減少対策では「神戸には非常に便利な公共交通網があり、それら都市インフラが活用されるよう見直しを行う」と強調。主要駅前のリニューアルに取り組み、ポストコロナを見据えたまちづくりを全力で進めるとした。(了)