先手の対策で「第5波」防止へ=内外情勢調査会で講演―鈴木三重知事

 三重県の鈴木英敬知事は7月5日、津市内で開かれた内外情勢調査会で、「先手先手で『第5波』を小さく、短く」と題して、県が取り組んできた新型コロナウイルスの感染拡大防止対策などを説明した。

 鈴木氏は、入所型の高齢者・障害者施設に勤務する人に無料でPCR検査する「社会的検査」の実施や外国人労働者を雇用する県内事業所に抗原検査キットを配布するなど「第5波」を防ぐため先手の対策を取っていることを強調。「感染防止対策とワクチン接種について、車の両輪でしっかり進めていきたい」と述べた。

 講演で、鈴木氏は、県独自の「緊急警戒宣言」について、感染拡大の「第3波」の時は感染者の累計が1107人になった際に発出していたが、「第4波」では、累計の感染者が661人の時に出し、より早く対策が取れたと指摘。全国や近隣の大阪府、愛知や岐阜両県などと比較して、感染の波が小さく済んだと強調した。

 一方で、まん延防止等重点措置終了後の感染再拡大(リバウンド)を防ぐため、感染者が約2週間後に急増する目安となる「新規感染者数が2日連続で17人以上」など県独自の指標を設け、措置強化の参考とするなど警戒を続けていることを説明した。

 医療従事者向けのワクチン接種は6月15日と、全国と比べて早い段階で完了し、医師や看護師らの感染者数減少や5、6月の医療機関でのクラスター(感染者集団)発生がないなどの効果が出ていることも示した。一方で、市町の進める接種で、国と自治体で認識のずれがあると指摘。「市町に配られているワクチンは打つ人が決まっており、余剰在庫ではなくひも付きの在庫。(接種の一時停止など)混乱の一つの原因は、モデルナ製ワクチンの供給管理をきっちりしなかったことに尽きる」との考えを示した。

 他にも、売り上げが減少した酒類販売事業者などを対象に県独自の支援金を設けたことや、8日から県民限定の宿泊、日帰り旅行の割引を始めることを説明した。(了)