2021年12月3日(金)
デジタル社会、アナログな対応も重要=内外情勢調査会で講演―大久保福岡県久留米市長
福岡県久留米市の大久保勉市長は7月9日、内外情勢調査会久留米支部で、新型コロナウイルスワクチンの取り組みなどをテーマに講演した。コロナで各自治体はデジタル化推進へとかじを切っているが、「アナログな対応」と「組織のフラット化」も重要だと指摘。時代の変化に「組織を適用させることが必要だと思っている」と強調した。
久留米市では、高齢者への接種率は開始2週間足らずで50%に達し、16~49歳分の予約日程を10日開始に前倒しするなど、「かなり進んでいる」と自負。8割超がウェブ経由の予約だが、高校の同窓会や地域のまちづくり振興会を通じ、インターネットが苦手な親や高齢者らへの支援を展開したのが奏功しているとみている。
大久保市長は「デジタルでと言っても、実際は『親孝行』というアナログ(な発想)であったり、地域で助け合ったりするアナログな方法で予約がうまくいっている」と説明した。「基盤として地域社会(のつながり)がしっかりしている久留米だからできる」のだという。
市役所でも、コロナ対策グループをつくり、日々の感染者数やワクチン接種の進捗(しんちょく)状況といった情報について、無料通信アプリ「LINE」などを使って担当者から副市長、市長まで共有する体制を整えている。戦後は「ピラミッド型組織」が機能したが、今は、広く情報を共有し、議論できる「フラットな組織」への転換が求められていることが「コロナでより鮮明になった」といい、「ワクチン接種は一つのリトマス紙。接種が早いのは(時代の変化に)適用したところだが、混乱したところは昭和モデル、平成モデルのままで、後の展開ができていない」との見解を示した。
講演では、内閣府の「地域バイオコミュニティ」の第一号グループとして、福岡県などと共に西日本で唯一認定されたことにも言及。コロナ治療薬開発にも取り組む核酸医薬メーカー・ボナック(久留米市)などバイオベンチャーが県内には集積している。大久保市長は「成功した人たちが、次の世代のためにお金を出して、企業を上場させるためのノウハウを伝授する(ことで全体の好循環を生む)のがエコシステムだ。久留米にバイオエコシステムをつくっていきたい」と意気込んだ。(了)