「長期的戦略で基盤整備を」=内外情勢調査会で講演―荒井奈良知事

 奈良県の荒井正吾知事は7月27日、奈良市内のホテルで開かれた内外情勢調査会で、これまでの県の新型コロナウイルス対策や重点施策の進捗(しんちょく)状況について講演した。荒井氏は「長期的な戦略で、県の活性化、基盤整備を進めたい」と述べた。

 荒井氏は、県の医療提供体制確保の取り組みについて、入院・加療が必要な人全員が入院できているとして「奈良では(感染者を)医療につなげることに成功している」と説明。今後も専用病床の拡充に努めるとともに、近く始める県独自の大規模接種などにより、ワクチン接種を加速させる考えを示した。

 また、新型コロナで影響を受けた中小企業などの資金繰り支援を目的に、県が昨年から全国に先駆けて始めた無利子・無保証料をはじめとする制度融資について、昨年度の融資実績は1万9029件(3588億円)に上ったと発表。県内の新型コロナ関連の倒産件数は全国平均を下回っているとして「効果があったのではないか」と述べた。

 一方、主な重点施策では、南海トラフ巨大地震への備えとして、2000メートル級滑走路を有する「大規模広域防災拠点」の整備を引き続き進めると強調。このほか、工場誘致が好調であることや、女性の働く場の創出に力を入れることも訴えた。(了)