「感染防止と経済、バランス重要」=内外情勢調査会で講演―中村長崎知事

 長崎県の中村法道知事は10月26日、長崎市内のホテルで開かれた内外情勢調査会で、新型コロナウイルス感染症の現状と経済活動の回復に向けた取り組みについて講演した。中村氏は「これからは感染防止対策と経済活動のバランスをどう図っていくのかが、ますます重要になる」との考えを示した。

 中村氏は、県内で確認された計約6000人の感染者のうち、2798人が「第5波」での感染事例だったと指摘。新たな変異株の発生などに危機感を示した上で「次なるリスクとして、今年の年末年始に向けて『第6波』がどういう形でやってくるのか懸念される」と述べた。

 ワクチン接種状況は、17日時点で1回目の接種を終えた県民の割合が76.3%、2回目接種済みの割合は70.6%と、全国的にも高い水準にあると説明。一方、若い世代は「まだまだ接種途上」として、「現在の最大の課題は、10代、20代の接種率をどう高めていくかだ」と話した。

 感染防止対策と経済活動の両立に向けて、国で検討が進む「ワクチン・検査パッケージ」の必要性に言及。「今後の検証状況を踏まえ、有効に活用していかなければならない」と語った。また、県民限定の県内宿泊キャンペーンについて、「今後は(県民限定ではなく)近隣県、九州圏から旅行客を迎えられるよう規制緩和を呼び掛けていく」と述べた。

 佐世保市のハウステンボスへの誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート(IR)については、「工事発注や運営時の各種調達、広域周遊による観光消費など非常に裾野が広い産業となっている」と強調。「さまざまなニーズを取り込んで地域経済の活性化に結び付けていきたい」との期待を示した。(了)