2021年12月3日(金)
政策は「エビデンスをもって」=内外情勢調査会で講演―山口県宇部市長
山口県宇部市の篠崎圭二市長は11月10日、内外情勢調査会宇部支部で講演し、人口減少対策として成長産業創出などに取り組むと訴えた。また、これまでの政策立案手法では「実際に効果があったのかどうかが分からない」とし、「しっかりエビデンスをもって政策を作っていく」と語った。
証拠に基づく政策決定(EBPM)は「住民の納得感を生む政策になる」と主張。ただ「今までの公務員にはなかなかその能力がない」とし、データ収集のノウハウも乏しいと指摘し、ビッグデータ分析などの研修を進めているとした。
市の生産年齢人口は、2045年までの30年間で3割程度減少する予想だ。対策には「まち・ひと・しごとのサイクルを回していく」ことが重要とし、特に「仕事をきちんと生み出せるかどうかが地方創生の一番の肝だ」と述べた。
その上で、ドイツの地方都市を例に「労働生産性が高い所は、仕事ができ、人が集まる」と説明。市の一人当たり総生産は、県平均を100とした際に84.5にとどまることを紹介し、医療や宇宙産業などの成長産業創出に取り組む考えを示した。
一方で、「多様な人材、クリエーティブな次世代を担う人材を引きつけられる魅力ある町かどうか」も重視。アートのあるまちづくりや、性的少数者への配慮など、「(誰もが同じように繁栄を享受できる)『共存同栄』の心で地方創生を成功させたい」とした。
宇部市は、11月1日に市制施行100年を迎え、2022年5月には新市庁舎も完成予定。「単なる記念の年で終わらせてはいけない。過去を見直し、未来への投資をやっていく年にしたい」と意気込んだ。(了)