「地域資源活用で富生み出す」=内外情勢調査会で講演―長崎山梨知事

 山梨県の長崎幸太郎知事は11月10日、甲府市内で開かれた内外情勢調査会で、「山梨からポストコロナの未来を切り拓く」と題して講演した。長崎氏は「これまで十分に活用されなかった地域資源をフル活用することによって富を生み出していく。県全体のROA(総資産利益率)を高めていくことで、収益性向上を図っていく」と語った。

 長崎氏は、高付加価値化をキーワードに施策を展開すると強調。特産品であるワインに加え、ジビエや「赤いシャインマスカット」などの新たな食材、地理的表示(GI)に指定された県産清酒「山梨」の活用などにより、「美食王国やまなし」の実現に意欲を示した。

 富士山周辺については、次世代型路面電車(LRT)を敷設する「富士山登山鉄道構想」による付加価値向上を進めるほか、「富士山は(世界)文化遺産であり、芸術の源泉として選ばれている」として、芸術に関わる人に創作活動に来てもらうことを想定した「アートシティ富士五湖構想」を検討していることも明らかにした。

 産業面では、医療機器関連産業を集積させる「メディカル・デバイス・コリドー構想」が順調に進み、「さまざまな大型商談が出始めている」と指摘。県が力を入れる水素・燃料電池事業について、関連企業が集積する研究拠点が甲府市内に来年開所することから、「新たな技術が湧き出ることで、県内中小企業メーカーにも携わってほしい」と期待を示した。

 これまでの新型コロナウイルス対応に関しては、「安心を確保することが地域の付加価値になる」として、確保病床数と宿泊療養施設の合計で全国最高水準の医療提供体制を実現したことなどを強調。「山梨モデル」として全国に普及した「やまなしグリーン・ゾーン認証制度」については、「ポイントは利用者、事業者、行政がそれぞれリスクを分担し合うこと」と紹介。県が基準を作成して認証を与えていることから、「何か問題があれば県の責任になる。行政がリスクを負って、(利用者や事業者と)同じ土俵に立ったことで、信頼してもらえた」と振り返った。(了)