ポストコロナ「県にとってチャンス」=内外情勢調査会で講演―達増岩手知事

 岩手県の達増拓也知事は11月26日、盛岡市内で開かれた内外情勢調査会で、「ポストコロナの岩手県」と題して講演した。新型コロナウイルスの流行は「地方が本来の在り方をつかむことができる可能性をもたらしている」と指摘するなど、東日本大震災津波からの復興の経験と合わせて、同県の新型コロナ対策と、今後目指していく姿について語った。

 達増氏は、新型コロナの流行によって、地元・地方志向が高まっていると指摘。地方で暮らしたい地域として同県の人気が上昇していることや、デジタルトランフォーメーション(DX)を活用した新たな働き方の進展を示すデータなどを引用し、「コロナ禍の影響を受けて脱東京一極集中の流れは確実に起きている」との認識を示した。

 こうした価値観や行動様式の変化は「県にとってチャンス」だとして、県の自然環境や、産業基盤、世界遺産などを生かせる強みとして紹介。「オールいわて」で当たってきた新型コロナ対策や、「誰一人取り残さない」という理念を掲げて進めてきた東日本大震災津波からの復興を振り返り、そうした取り組みと合わせてポストコロナに向けて「岩手の強み、成果を生かしていくことが必要」だと呼び掛けた。

 達増氏はポストコロナを、「①新型コロナ対策を続ける②地元・地方志向が強まる③本当の人生を求める」社会だと定義。重視すべき政策として、県の課題である医師不足・医師偏在への対応、県内への就職を促す魅力的な情報発信や環境整備を通じた移住・定住の促進などを挙げた。

 新型コロナ対策や、復興においても、SDGs(持続可能な開発目標)のように、「明確で測定可能な目標」を設定して連携し合うことの重要性を強調。「あらゆる主体が力を合わせて困難を乗り越え、新しい時代をつくっていける」と訴え、これまでやってきたことを元に、今後も県民計画のキーワードとなっている「県民の幸福度向上」を図っていくとした。(了)