リニア開業を成長のチャンスに=内外情勢調査会で講演―一見三重知事

 三重県の一見勝之知事は7月25日、津市内で開かれた内外情勢調査会で「『成長の回廊(コリドー)』を描く三重の未来」をテーマに講演した。2025年に予定されている大阪・関西万博、33年の伊勢神宮式年遷宮、37年のリニア中央新幹線・名古屋―大阪間開業が三重県成長に向けてのホップ・ステップ・ジャンプになるとし、「これを成長に生かしていかないといけない。(全県で)発展できるように、北部に集まる人や企業を南部に持っていく」と意気込んだ。

 三重県が抱える課題として、人口減少と自然災害を挙げた。県内の人口の状況について一見氏は「転出超過を何とか止めないといけない」と指摘。男性と比べて女性の働く職場が少ないとし、「サービス業や観光業がポイントになる」と述べた。

 また、社会減対策として「名古屋には三重の桑名や四日市、大阪には名張や伊賀から行ってもらえる」ことを強みに、「多くの人を三重県に呼び込みたい」と語った。4月から県庁内に「人口減少対策推進本部」を立ち上げたことにも触れ、全庁を挙げて総合的に取り組む考えを示した。

 自然災害については、南海トラフ地震などを想定し、実践的な訓練などの対応を防災の担当部と協議していると説明した。

 このほか、日本に迫る「静かなる脅威」として安全保障についても、海上保安庁勤務時の経験も踏まえて解説した。沖縄県の尖閣諸島に海上自衛隊の護衛艦を出した場合、「中国から(尖閣付近は)軍艦がいるような騒擾(そうじょう)の海と言われ、議論が始まってしまう。勇ましい考え方は国を滅ぼす可能性がある」と持論を述べた。(了)