「差別化」で県の能力発揮を=内外情勢調査会で講演―大井川茨城知事

 茨城県の大井川和彦知事は11月16日、水戸市内のホテルで開かれた内外情勢調査会で、「茨城のこれからの方向~ポストコロナ時代の茨城県政」と題して講演した。大井川氏は国際情勢の変化や気候変動、近年の技術革新に触れ、今後はより予測の難しい時代になると説明。その上で「県政も前例踏襲ではなく、どう差別化するかが大きなポイントだ」と述べ、引き続き県の潜在能力を発揮できるよう取り組む考えを示した。

 知事就任後に力を入れたものとして、企業誘致の実績を挙げた。自ら先頭に立つトップセールスや最大50億円の補助制度を通じ、県外企業立地件数で全国1位になったことなどを紹介。大井川氏は「若者に魅力的な職場をいかにつくるかが重要だ」と話し、本社機能の移転を含めた誘致に力を入れるとした。

 また、農業分野では売り上げ主義から利益重視への転換を掲げ、今後は輸入規制が緩和された台湾や米国の市場に販路拡大していくと説明。観光分野では首都圏の観光地との差別化を図るため、アウトドア、特にキャンプやサイクリングの発信に力を入れる考えを示した。

 県政の重要な課題として、産業廃棄物の最終処分場、首都圏唯一の原発である日本原子力発電東海第2原発の再稼働をめぐる問題などに触れた。大井川氏は「後の人に先送りすることはやってはいけない」と述べた。2022年度内につくばエクスプレス(TX)の県内延伸方面を絞ることも紹介した。

 この他、新型コロナウイルスの感染者が再び増えていることに関し、大井川氏は「オミクロン株以降、重症化率は季節性インフルエンザと変わらない。コロナと共生ということで、普通の生活をしてもいいのではないか」と話した。(了)