世界から選ばれる県」へ新たな挑戦=内外情勢調査会で講演―服部福岡知事

 福岡県の服部誠太郎知事は11月30日、福岡市内で開催された内外情勢調査会の福岡・北九州・久留米3支部合同懇談会で「県の未来への扉を開く」と題して講演した。コロナ禍や物価高騰への対応に追われる中、「九州のリーダー県たるにふさわしい飛躍、発展に導くためには新しいチャレンジが必要だ」と強調。未来を見据え、「世界から選ばれる福岡県の実現」といった目標を掲げ、戦略的な企業誘致などを進める考えを示した。

 服部氏は、県内に福岡、北九州の二つの国際空港や重要港湾などがある点を踏まえ、「この強みをもっと生かし、国内外からの戦略的な企業誘致を進め、雇用を生み出し、所得を上げていくことが必要だ」と指摘。福岡空港で北米路線の誘致を図るなどとした一方、国がデータセンターの地方分散の方針を示していることから、地震リスクが低い直方・鞍手工業用地をその拠点としても整備を進めると説明した。同用地について「トヨタ自動車九州、インターチェンジから近く、自動車関連企業の立地も見込める。早期に進めたい」と意欲を語った。

 また、熊本県への半導体受託製造の世界最大手「台湾積体電路製造(TSMC)」進出を好機と捉え、今年2月に安川電機や九州大などと産学官の「グリーンデバイス開発・生産拠点推進協議会」を立ち上げており、「県にある半導体関連企業をさらなる成長に導き、新しい企業も誘致していかないといけない」と意気込んだ。

 新しいチャレンジには、次代を担う「人財」育成と成長産業創出も掲げた。この中で、宇宙分野の九大発ベンチャー「QPS研究所」の技術をPR。多数の小型衛星を連携させ、情報収集力を高める「衛星コンステレーション」により、10分間隔の準リアルタイムデータの提供を目指すという。17のものづくり中小企業が参画しているため、服部氏は「下町衛星」と表現。岸田文雄首相に宇宙ビジネス振興への支援を要望したといい、地方での振興の意義や波及効果に関し「災害時の迅速な対応や農業、水産業などに活用できる。データを活用したビジネスも生まれる」と話した。

 他にも、飯塚市でのブロックチェーン産業の拠点化や北九州市と連携した風力発電産業の集積地形成に取り組む考えを示し、「今からの日本を引っ張るのは九州であり、福岡を飛躍、発展に結びつけていかなければいけない。未来への扉を開いていきたい」と力を込めた。(了)