官民連携で市の魅力向上=内外情勢調査会で講演―永藤堺市長

 堺市の永藤英機市長は1月13日、市内で開かれた内外情勢調査会で「未来を創るイノベーティブ都市・堺の挑戦」とのテーマで講演した。「これからの時代、一つの自治体で(事業が)完結することは難しい」と述べ、民間との連携を進め、市の魅力向上を目指す方針を示した。

 永藤氏は、市の方向性を示した「堺市基本計画2025」を紹介。計画では、伝統産品の年間売り上げを2億円とし、世界遺産「百舌鳥・古市古墳群」がある大仙公園地区の来訪者数を2019年度比倍増の60万人に引き上げるなど、25年度に達成すべき具体的な数値目標を掲げている。目標達成を目指す市だが、「これまでの行政は縦割り意識が強かった」として、民間事業者との連携を重視。企業や大学からの事業提案をワンストップで受け入れる「さかい・コネクテッド・デスク」の設置に触れながら、民間による実証実験の機会を増やす意向を明らかにした。

 市の産業については「製造品出荷額は政令市でダントツ」とアピール。このポテンシャルを武器に、包丁など伝統産品をブランド化して販売する「堺キッチン」の運営などで、伝統産品の魅力向上に力を注ぐ考えを示した。一方、「サービス業はまだまだ伸びしろがある」と指摘。百舌鳥・古市古墳群の一つ、仁徳天皇陵古墳を上空から一望するガス気球を「春までには揚げたい」と述べ、国内でも珍しい観光施策実現に意欲を見せた。

 10月には先進7カ国(G7)大阪・堺貿易相会合が開催される。「堺の魅力発信、経済の活性化につなげたい。行政だけではできないことがたくさんある。知恵をしぼり、(官民で)力を合わせて進めたい」と意気込んだ。(了)